昔から、梅雨期の終わりころから非常によくみられ、ジメジメと湿度が高く晴れ間が出て気温が急上昇した日などは、多くの人が悩まされたものです。
チクチクとした痒みがあり、掻いているとやがて湿疹化し、ひどい時には化膿してしまう汗腺膿瘍といったプロセスをたどります。
なぜあせもはおこるのでしょうか?
ドラッグストアの店頭では、梅雨のあがり際の急に暑くなった日には、あせものお客様が朝から晩までひっきりなしに薬をお買い求めに来られます。
やがて本格的な夏がやってくると、あせものお客様はパッタリと来られなくなったものです。
しかし、ここ数年は夏の間も途切れることなく、あせもの薬は動くようになりました。
なぜでしょう?何が変わったのしょうか?
これらの疑問を解き明かすと、あせものことがよくわかり、あせもで悩むことはなくなります。
ご存知のように、梅雨前線が日本上空に停滞している状態がいわゆる梅雨ですが、この梅雨前線とは、北の冷たい寒冷前線と南の温暖な前線とせめぎあいです。つまり、冬と夏との季節の入れ替わりですね。
前線の上下で気温が急に上下します。
私たちの身体は、それに『順応』して生きています。
寒い時は体温を逃がさないように、暑い時は熱が体内にこもらないように体調管理をしています。
急に暑くなると、身体は順応をはかりますが、急にはついていけません。
暑さの中で、体温を調整する(下げる)ために汗をかきます。
しかし、湿度が高いので『気化熱』で効率よく体温を下げられません。私たちの身体は、体温を下げようとして、更に一生懸命発汗します。ダラダラと身体中から汗をだすのです。
身体中からでた汗をハンカチやタオルで何度も何度も皮膚を拭うことになり、刺激された皮膚は炎症をおこしていきます。
また、発汗そのものが無理で、皮下に詰まり、汗腺の出口で腫れ、小さな水玉を形成したりします(顕微鏡で見ると水晶の玉のようなものがびっしり見えるそうです)。これが擦れて破れたり、刺激されて炎症をおこし、赤く腫れます。
これらが、あせもで、湿疹の一種と考えれ、湿疹と同じ治療をします。
一般的な治療としては、『アセモールS』などの非ステロイド剤軟膏の塗布です。
これは、軽い薬で、かゆみを抑え、汗を吸着(塗ると白くなる成分)します。
炎症が強く、痒みも強く、掻いて悪化させてしまうようなときには、ステロイド剤です。
『プレバリンクリーム』を中心に、掻いてしまった場合には軟膏を選択します。
更に化膿菌(黄色ブドウ球菌等)が繁殖してジュクジュクしている場合には、『ドルマイシン』、『ドルマイコーチ』など化膿菌を抑える薬を選択します。
しかし、これらは、できたあせものケアーにすぎません。
治った後の再発を防いだり、根本的な解決のためには、
急な気温上昇が原因なわけですから、上手にクーラーを利用しましょう。
クーラーの効いた部屋に入れば、発汗・痒みはたちどころに治癒します。
そして、少しづつ温度を上げてゆき、身体を順応しやすくすればあせもで悩むことはなくなります。
段々と温度を上げ、外気温と5度以内に調整していって下さい。でないと、クーラーの効いていない場所に行ったとたんに発汗異常のあせもに悩まされることになります(これが、最近夏場にもあせもの薬が動く理由です)。
クーラーの利かし過ぎには、注意しましょう。役立つ最新情報のところでも記載していますが、のどの痛みや咳に悩まされるかもしれません。
クーラーのついていない所でしたら、風通しを良くしたり、扇風機やうちわを利用して、上記のメカニズムを踏まえた対処を行うと良いです。
身体が順応してしまえば、暑くても発汗による体温調整はスムーズに行われて、あせもはまずできません。